川を流される女性に野球部少年がロープ投げて救出とかいう漫画みたいな話。こんなの現実にできるのか

手を振り払い女性が川に…高３がロープ投げ「泳いで来い、これをつかめ」
2021/03/20 13:10

木津川に飛び込んだ女性を救助した大阪市大正区、高校３年の男子生徒（１８）に、大阪府警浪速署が感謝状を贈って、その勇気ある行動をたたえた。男子生徒は「絶対に助けたいと思った。感謝状をもらってうれしい」とはにかんだ。

男子生徒は１日午後１時頃、同区と浪速区を結ぶ大浪橋を自転車で通行していたところ、橋の中央付近で手すりを越えて、木津川に飛び込もうとしている女性を見つけた。

「何しているんですか」。自転車を降りて、女性をつかんで止めようとした。しかし、女性は「いいんです」と制止を拒み、男子生徒の手を振り払って、５メートルほど下の川に落ちてしまった。

男子生徒はスマートフォンで１１０番しながら、川岸に向けて無我夢中で走った。女性は１００メートル以上流されていたが、船をつなぎとめるロープを女性に向けて力いっぱいに投げた。「こっちに泳いでこい。これをつかめ」

ロープにつかまる女性。通報で駆けつけた浪速署員らが川に飛び込んで女性を川岸に引き上げ、助けられた。

男子生徒は「死なせたら、自分のせいだと思った。助かって、本当によかった」と話していた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210320-OYT1T50033/

川で女性を救出したとして、大阪府警浪速署は5日、大阪市大正区の高校3年、大城（おおしろ）良将（りょうま）さん（18）に感謝状を渡した。大城さんは水泳が苦手な「かなづち」だが、たまたま見つけたロープで命を救った。ずっと続けてきた野球で聞いてきた言葉が、とっさの行動を後押ししたという。

大城さんによると、1日午後1時ごろ、浪速区と大正区の間にある大浪（おおなみ）橋を通りかかった時、欄干から身を乗り出している女性を見つけた。大城さんは後ろから組み付き、「何してんの」「あかんで」と数分間説得を続けて女性を引き戻そうとした。

だが女性はさらに身を乗り出し、下の木津川に転落した。大城さんはスマートフォンで110番通報し、川沿いの堤防に降りて流されていく女性を追った。

200メートルほど走ったとき、堤防に船の係留用の太いロープがあるのを見つけた。大城さんが「つかまれ！」と投げたロープを女性はつかんだ。警察官や消防隊員も駆け付け、女性は無事に引き揚げられた。

大城さんは小学校から野球を続け、どの指導者にも「困っている人は助けなさい」と言われてきたという。「野球は助け合うスポーツ。その教えのおかげか、とっさに体が動いた」

5日、浪速署の荒武泰子（あらたけやすこ）署長から感謝状を贈られた大城さんは「人として普通のことができたと思う」と話した。2月に高校の卒業式を終え、4月からは社会人として一歩を踏み出す。（河野光汰）

https://www.asahi.com/articles/ASP356QCYP35PTIL01R.html

女性が川に転落した際の様子を説明する大城良将さん=2021年3月4日午後2時43分、大阪市浪速区、河野光汰撮影

大城良将さんはこの堤防を走り、川を流されていく女性を追いかけたという=2021年3月4日午後3時23分、大阪市浪速区、河野光汰撮影