ジャングルジム火災の遺族がコメント｢息子の最期の顔と炎､スマホで火災を撮影していた人たちの様子は今も脳裏から離れません｣

2人は16年11月6日、監視役を任されたが、午後5時ごろ、投光器を内部で点灯させたまま放置。

約15分後、白熱電球で熱せられた木くずが発火してオブジェは全焼し、中にいた男児を焼死させ、助けようとした父親の顔や手に重傷を負わせた。

弁護側は「白熱電球から発火することは予見できなかった」と無罪を主張し、2人が火災の危険性を認識していたかが争点だった。

判決は、点灯から数分の間、「電気ストーブに似た暖かさを感じた」などと2人が公判で説明したことから、
「高熱を発する投光器の性質や、可燃物が接触すれば発火することを十分に認識していた」と判断した。

その上で、下津裁判長は「突然炎に包まれた男児が感じた恐怖は強く、犯情は重い」と非難する一方、教員らから適切な指導を受けていなかったことを情状酌量の理由として挙げた。

警視庁は19年3月、元学生2人の他に、同大教員やイベントを主催した会社社長ら4人を業務上過失致死傷容疑で書類送検したが、東京地検は同8月に4人を不起訴とした。

◆「息子の犠牲、今後の対策に」両親がコメント

「息子の最期の顔と炎が脳裏に焼き付いて離れることはありません。助けられたのではないかと自問自答の日々が続いています」。

亡くなった男児の両親は毎日新聞の取材に、代理人弁護士を通じてメールで答え、約4年8カ月たっても癒えない胸の内を語った。

当日は天気が良く、父親と男児は2人で散歩がてらイベント会場に出かけた。

男児がオブジェの中に入って遊んでいると、突然、炎が見えた。

父親は助け出そうと駆け寄ったが、瞬く間に全体が炎に包まれた。

消火後、変わり果てた息子の姿に全身の力が抜け、地面に膝をついた。スマートフォンで火災を撮影していた人たちが、一斉に後ずさりした記憶は消えない。

元学生2人の過失を認めた判決に、両親は「息子は本当ならば10歳。どんな子になっていただろうかと考えない日はない。有罪となった元学生には、当時の行動を反省してほしい」とコメントした。

教員やイベント責任者の刑事責任が問われなかったことには
「遺族にとっては納得のできない結果。子供たちが安全に遊べるイベントの運営や遊具の管理など、息子の犠牲が、今後の対策に生かされることを心から望みます」とした。