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宮城）ルポ・放課後児童クラブ　長引く休校、職員は疲弊

宮城県内で学校の臨時休業が長引くなか、県内の放課後児童クラブの職員（支援員）が疲弊を深めている。いつもは午後だけだが、今は朝から小学生を預かるようになった。いつもの遊具は使えず、消毒液と布巾が手放せない。過密な環境にも神経をすり減らす。

　名取市の下増田放課後児童クラブ。震災後に人口が増えた住宅街にあり、定員100人に対し172人が登録。ふだんは放課後、120人ほどの利用児童が平屋建ての施設を駆け回り、パートを中心に計14人の支援員らがみている。

　小学校の休校が始まった3月からは、人気のカードゲームや外遊びの野球バットなどは、複数の子が触れてはいけないとお預けになった。代わりに準備した折り紙1千枚は、2日間でなくなった。

　以前は100人以上が30畳ほどの部屋に長机15卓を並べて一斉に昼食をとっていた。3月以降は一度に20人まで。順番待ちをし、食べるときは間隔を空ける。向き合って座ってはダメなので、自然とおしゃべりもできない。

　小学生にも「3密」という言葉はおなじみだ。遊んでいて体がくっつきそうになると、支援員は「『密』だよ！　離れてっ！」と声をかける。じゃれてくる子の抱っこもできない。漫画本は子どもが読むたび、次亜塩素酸水で表紙を拭く。

　取材した日、クラブにいた5年生の女児は「好きな遊びができなくてつまらない」と口々に言った。クラブを受託するNPO理事長の斎藤勇介さん（41）は「子どもはつながりを求めて遊ぶ。3密は避けられないのに、今は感染防止のため、真逆が要請されている」と話す。

　名取市は児童クラブの過密を避けるため、隣接する小学校の教室を開放。休校が延びた20日からは、小学校教員が支援に入るなど配慮を進める。下増田児童センターの渡辺由貴館長（47）は「一人一人机に向かう学校の方が、3密を避けられるのではないか。感染者を出すまいという緊張感と、いつ集団感染が起きるかという恐怖とで、疲れ切っている」と苦境を訴えた。

　富谷市は児童クラブ8カ所について、4月20日～5月6日の臨時休所に踏み切った。県内の市では初めての措置とみられる。

　隣接する仙台市泉区で子どもを含むクラスター（感染者集団）が発生。同じプール教室に通う子もいて、危機感が広がっていた。16日には富谷市在住の3人の感染もわかり、市が急きょ決めたという。ただ、医療従事者とひとり親家庭の子は受け入れを続ける。

　市内で最も子どもが多い日吉台小児童クラブの施設長、尾木善宣さん（42）は「地域や保護者が協力しなければ、僕たちだけで子どもを守るのは限界がある。市の決断に感謝したい」と話した。

　県内では、大郷町が3月から児童クラブを休業。県によると、緊急事態宣言などを受けて、ほかの地域でも預かる人数を減らすなどの動きがあるという。（編集委員・石橋英昭）

　放課後児童クラブ　保護者が日中、家にいない小学生に対し児童館などで遊びや生活の場を与える事業。学校がある日は放課後に、夏休みなどの平日は午前中から開く。「学童保育」とも呼ばれる。昨年5月現在、県内に501カ所のクラブがあり、児童2万8840人が登録をしている。

　政府は2月27日に突然、学校の一斉休校を要請する一方で、放課後児童クラブには原則開所を求め、各地のクラブが対応に追われた。自治体で児童クラブを所管する子育て支援部署と、教育委員会との縦割りも課題だ。東松島市などでは、昼までは小学校を開放して預かるといった連携も生まれている。

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