今、渋谷区富ヶ谷にいるんだけど　閑静で道も綺麗で散歩にはぴったりだな。　奥渋とか言われてるらしいけど

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14462076.html

緊急事態下で：上自粛を「お願い」、あいまいな責任、権利抑制の空気

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態が宣言され、外出や営業の自粛呼びかけが続く。感染を抑えようと私たちはこれを受け入れているが、「ウイルスと闘う」との合言葉を前に、かき消されているものはないか。７３回目の憲法記念日を前に、緊急事態下の不自由を考える。
日本のあちこちを、重苦しい空気が覆っている。
東京・品川の戸越銀座商店街。「人出が多い」とテレビで繰り返し報道され、ネット上には「殺人商店街」と書き込まれた。商店街連合会の女性は「非国民のように思われている、と感じた」と話した。
渋谷区役所には、どの店に行列ができている、あのバーが営業しているというメールや電話が連日寄せられる。送り主自ら、「パトロール」と称するものもある。「自警団のよう」。区の職員は漏らした。
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新型コロナ対策として、欧米各国は外出に罰則を設けたり、店舗を閉鎖させたりと強制措置を打ち出すが、日本政府は「自粛要請」にとどまる。「お願い」型が成り立つ背景について、千葉大学の大林啓吾教授（憲法）は「個人の権利意識が強い欧米と異なり
日本では同調圧力が事実上の強制力として作用しているから」とみる。
「お上の言うことに素直に従う権威主義と、個人よりも集団が優先される集団主義。この『明治憲法の残滓（ざんし）』とも呼ぶべき二つの主義がいまだ社会に残り、政府の要請に従わないことを許さない同調圧力と相互監視を生んでいる」
明治憲法において国民は、主権者たる天皇に服従する臣民とされた。新憲法で主権者は国民となり、個人として等しく尊重されることになった。それでも、「残滓」は時に個人の自律を阻み、集団の中に個人を溶かし込もうとする。
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「緩やかな法体系のもとでも国民一人一人が努力する、まさにこの日本人のＤＮＡ」
コロナ対策を担う西村康稔経済再生相は国会で、日本維新の会の議員から外出規制に罰金を設けるべきだと問われ、こう答えた。罰則などなくても従ってくれる――。これは国家と個人のうるわしい関係と見るべきか。それとも、国家が個人の自律を軽んじていることの証左と捉えるべきか。
「お願い」型を否定する必要はもちろんない。強制は少ない方がいい。留意すべきなのは、責任の所在がうやむやになることだ。
政府は、休業に伴う損失の「補償」を一貫して否定する。憲法が保障する財産権や生存権を盾に、政府に補償を「権利として」強く求める動きが出てもおかしくない局面だが、休業判断の責任はあくまでも店側。
権利を侵害されたと裁判に訴えても、救済の対象にならないというのが専門家のもっぱらの見方だ。
緊急時こそ、責任の所在を明確にすることが重要だ。感染拡大を抑えられなかった場合、その責任はだれに帰すのか。政府は正しく要請した、十分に応えなかった国民が悪い――などということには、よもや、ならないだろうが。
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最初の宣言から３週間余。より強い措置に踏み込む動きも出ている。
大阪府内の一部のパチンコ店が、自粛要請にかかわらず営業を続けていた４月２４日、吉村洋文知事は特別措置法に基づき、店名を公表。各地の知事も続いた。
事実上の制裁措置。吉村氏はその是非を記者団に問われると、「特措法は責任逃れ法律だ。休業要請をするなら、補償を明記すべきなのにそれがない」と語る一方で、「府民から（休業していないと）多くの声が届けば対応するのは当然」と強調した。
西村氏も２８日の国会で、「権利は濫用（らんよう）してはならない」という憲法１２条の一部を持ち出して、罰則を新設する可能性に触れた。
多数が望んでいるので自由を制限します――そこに落とし穴はないだろうか？
ドイツで研究中の田野大輔・甲南大学教授（ドイツ現代史）は「メルケル首相は演説で、『（自由の制限は）民主主義社会では決して軽々しく発動されてはならない』と説明したうえで強制力を行使した。
日本は行政が私権の制限という点をうやむやにしたまま、他罰感情のような劣情を動員する形で、自らの権力行使の正当性を得ようとしているのではないか。それはファシズム的な手法で、注意が必要だ」と語る。
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憲法は、国民の生命を守る責任（アクセル）と、個人の自由と権利を侵さない責任（ブレーキ）を共に果たすよう国家に命じている。先の見えない不安は、国家がアクセルを踏み込むことへの期待に転化しがちだが、ならば同時に
ブレーキの性能もよくしろと主権者は国家に命じなければならない。国家が暴走し、破綻（はたん）した結果として手にした日本国憲法には、その教訓が「国民主権」として刻まれている。