今のネット、「なんJノリ」がスタンダードになってしまう…

ライアン・ブロデリック
WIRED 2025年4月22日 午前10:40

もはや、4chanのようなサイトは二度と現れないかもしれない。だが、その遺産——より正確には「有毒な遺産」——は、X（旧Twitter）からYouTube、果ては世界の政治にまで、まるでウイルスのように広がってしまった。

ぼくが初めて4chanに触れたのは、深夜、眠れずにPCに向かい、「I can has cheezburger?」とか言ってるネコの画像をスクロールしていたときのことだった。今でこそ懐かしネタのLOLcatだが、当時の14歳のぼくにとっては、それはもう革命的に面白かったのだ。あまりに笑いすぎて、夜中の2時に父親を起こしてしまったほど。

しかし、その後に待ち受けていたのは、もっとダークな側面だった。

先週、ライバル掲示板のハッカーによって完全にネット上から消滅したとされる4chan。その消滅を振り返ってみると、この20年以上の歴史の中で、いかにこのサイトが多様な「顔」を持っていたかが見えてくる。インターネット文化の発信地であり、匿名の逃げ場であり、そして最終的には銃乱射犯のファンクラブ、ゲーマーゲートの司令塔、そして世界中の極右思想の心臓部へと変貌していった。

言ってしまえば、4chanは世界を「咀嚼」し、独自の形で「吐き出した」のだ。今やXも、Facebookも、YouTubeですら、どこか4chanっぽさをまとっている。つまり、もはや4chan自身が存在する必要がなくなったとも言える。

「ショックとゴア（グロテスク）のためのウェブサイトという”新しさ”は、君の意見が世界の五大富豪とアメリカ政府の公式ポリシーになる時点で死ぬんだよ」と語るのは、元過激主義報道記者で現在はThe OnionのCEO、ベン・コリンズ。

「どんなニヒリズム的文化現象でも、それ自体が“体制側”に取り込まれた瞬間に死ぬんだ」